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■2010/01/18(月)　№280　発展途上国ニッポンにならない為の提言とは？

　１９３５年生まれで、今年７５歳になる堺屋太一氏は、通産省（現経済産業省）の官僚を経て、１９９８年～２０００年に小渕内閣・森内閣で経済企画庁長官を勤められた異色の作家です。その堺屋氏は、日本について、１９９１年バブル崩壊後の１０年を「失われた１０年」、それに続く、２０００年～２００９年を「凋落の１０年」と、ネーミングされています。
　一人当たりのＧＤＰを見ると、２００１年までは世界で５位以内に入っていたのが、２００２年以降は年々順位を下げ、ついに２００７年、２００８年は１９位になりました。これらから、堺屋氏は、早急に日本の「国の形」を根本的に変えない限り、日本はやがて発展途上国に転落すると明言されています。戦後、復興をめざし、製造業・建設業を中心に、高度経済成長を成し遂げ、一時経済大国にまでのぼりつめた栄光が崩壊すると予想されているのです。
　堺屋氏の主張では、同じように高度成長を成し遂げたアメリカやイギリスは、１９８０年に入って「知価革命」が起き、それまでの規格大量生産による工業社会から、情報やサービス産業の転換を成し遂げ現在に至った。一方、日本は、この知価革命が遅れ、未だに製造業・建設業に変わる次の情報・サービスなどの産業が生まれていないと言われています。これは、なぜかというと、昔ながらの規格化の発想が続いているからで、変化に対応できず収益を悪化させているとの主張です。さらに、収益が悪化し給与が減っている為、安いものしか売れないデフレの悪循環にもなっているとのことです。
　では、なぜ、知価革命後、日本に新しい産業が育たないのかというと、教育や医療などの有望分野が官僚統制でがんじがらめにされているからだと主張されています。又、地方の衰退は、「頭脳活動」を東京に集中させ、地方に農業と製造業・建設業といった「手足」の機能しか与えなかった昭和初期からの国策の結果だとも言われています。貿易自由化で農業が衰え、知価革命で製造業が失速し、公共工事の減少で建設業が立ち行かなくなったから地方が必然的に衰退したのだと・・・。
　これらの日本の状況を解決するには、①公務員改革をし、定年退職が保障される「身分」化した役人を「職業」化し、自由公募、能力主義にすること。②地域主権型道州制の導入で、権限と財源を大きく地域に移し、地域が自力の頭脳で競い合うことが大切。③規格大量生産的な学校教育を改革し、官製の統一教育から個性や独創性を伸ばす教育に改める。が、重要だと言われています。特に、③の教育については、共感すべき点がたくさんあり、発展途上国日本にならないように早急に具体的な教育改革の必要があると改めて感じているところです。

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