オンリーワン～親子で楽しむ総合学習システム～

NEW!　オンリーワンの目標と学習システムのページに実際のプリント例を紹介

オンリーワンスクールの説明会・体験会・教育セミナーなどの開催地一覧は、イベント情報をご覧下さい。

■2010/03/15(月)　№296　増える非正規公務員と危うい「公務員安定神話」

　オンリーワンの中学生や高校生に、将来何になりたいか？と聞くと、いろいろな夢を話してくれますが、お友達は？と聞くと、「公務員になりたい」という学生が少なからずいるとも話してくれます。その理由は？と聞くと、「公務員は安定しているから」だそうです。これは、「公務員は安定していたから」という過去の話をこれからの未来の話と勘違いさせてしまっている私たち大人にも問題があるのかなという気がします。
　今後、公務員が安定した職でなくなるであろう理由はいろいろと考えられますが、ひとつは、国や地方自治体の税収の落ち込みと今後の見通しです。今回、衆議院を通過した２０１０年度予算を見てみると、９１兆円余りの予算の内訳が、３７兆円の税収に対して４４兆円もの国債発行（借金）という異常な状況となっています。つまり、日本国は収入より借金が多い生活をしているということです。公務員の給与は国の税収の中から払われるわけですから、当然、税収が落ちれば公務員の給与が減る可能性や採用減の影響が出てくるわけです。さらに、この税収が今後増える見込みがあるのかという見通しも大きな問題です。
　日本を取り巻く環境をあげてみると、少子高齢化、デフレ、失業率の悪化、就職率の悪化、生活保護世帯の増加、国際競争の激化など、厳しい要因が多いのが現実です。このような状況で今後の税収の予想を考えると、企業経営の厳しさや少子化によるマーケットの縮小などにより、法人税の減少、デフレや失業率の悪化などによる所得税の減少、就職率の悪化や生活保護世帯の増加による消費税の減少など、税収を取り巻く環境は増えるどころかどれをとっても大幅な減少を予想させるものが少なくありません。当然、国の税収が減れば地方への交付税も減り、地方自治体の運営も厳しくなります。この動きにリンクするように、道州制で地方を県と市町村の行政から市町村に一本化して地方分権とコストカットの実現を図ろうという発想もあります。このように、今後、国・地方ともスリム化をせざるを得ない状況の中で、公務員を安定して正規採用するとは考えられません。
　実際、地方公務員も「非正規雇用」が増えており、２００８年の総務省調査は、正規職員約１４０万人に対して、非正規職員が約５０万人と発表しています。この数字は、２００５年から約１０％も増えており、一部では約６０万人の非正規職員がいるとの自治労の調査もあります。又、全国の自治体職員の２８％が非正規職員で、非正規が正規を上回る自治体も２９自治体あるとのことです。このような理由から、とても「公務員はこれからも安定するだろう」などとのんきには言えないのが現実です。それにも関わらず、学生たちが公務員が安定していると勘違いしている理由は、私たち大人が若者に「公務員を取り巻く環境は過去に比べ大きく変わった」と正確に説明をしていないという点が大きいのではないでしょうか？
　一方、「そんなことがわかっていたのなら、公務員以外の就職活動をすれば良かった」と責任転嫁する学生がいたとしても、その責任は大人が話す公務員安定神話をうのみにし、日本の状況をしっかりと勉強しなかった学生にもあるのではないかと考えられます。結局、日本の状況をよく把握した上で自分の人生設計を立てる以外、日本で生き抜いていく方法はないように思えるのです。

2024年4月

日月火水木金土

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

過去の日記

2024年04月(3)

2024年03月(2)

2024年02月(1)

全て表示

日記内を検索

オンリーワンスクールの説明会・体験会・教育セミナーなどの開催地一覧は、イベント情報をご覧下さい。